出版しました。バリアフリーから、暮らしのリノベーションへ。【Rehabilitation Life】
2018年1月31日に初版、同年3月に重版と、おかげさまでご好評を頂いている「Rehabilitation Life」
株式会社geneさまより、仲間と執筆し、出版させて頂きました。
お買い上げ頂きました皆さま、本当にありがとうございます。
バリアフリーを超えた先にある、多彩な暮らしのリノベーションを必要としている方に届くことを願っております。
こちらのブログでは、どのような想いで執筆をしてきたのか、いわば裏舞台のご紹介をしたいと思います。
執筆の企画が始まったのは、ちょうど一年前の2017年秋。
かねてから尊敬していた、株式会社リハブインテリアズ(熊本県)の代表 池田さんからお声がけ頂いたこと。
広島でのお仕事があり、どうせなら山梨から一気に南へ行ってしまえと池田さんとお会いする機会を頂きました。
その際に、「今までの住宅改修のハウツーを超えた本を書きませんか」とのご提案。
打ち合わせでは、「リハビリテーションとデザインって、すごく似てると思うんですよ」「個別支援から最後は地域づくりにつながるんですよね」「バリアフリーが悪いのではなく、それしか選択肢がないのがよくない」など、この本の柱となる話題がドンドン出てきました。
そしてすでに出版社からは、【全ページオールカラー】という大判振舞の仕様が決まっている。
これは、これからの高齢社会をよりよい方向に一歩前進するような本にしたい!
そんな想いが湧き上がってきたのを今でも覚えています。
しかし、池田さんと私だけでは十分な内容が書けないので、実践してる仲間に参加してもらうことにしました。
山梨で、私が独立する前から懇意にしてくださってる伊東工務店の伊東誠三さん。
私の住宅解剖論という、解体住宅で住宅の解剖学実習をする企画を一緒に組み立ててくださった兄貴分。
一般住宅のみならず、障害をもった方の住宅改修の実践は600件を超える第一線級の実践家でもあります。
また、同じ作業療法士で地域での実践があり、一般的に組織に属している保坂和輝さんにも執筆を依頼。
私だけでの視点では偏りがちなので、読んでくださる方々とできるだけ同じ環境にいて、それでもできることがある実践を紹介してもらいたくて参加して頂きました。
本を書いたことがないので、「本ってどうやって書くんだろう」「どのくらいの文字数をかけばいいの?」など、まさに手探り。
それでも週末は池田さんと電話で打ち合わせをしたり、出版社さんに原稿の割り振りをしてもらったり、山梨メンバーで集まって役割分担したりと試行錯誤しながら書いたのが実状です。
しかも、おおよそ半年で書き上げたことになります。
コンセプトは、「暮らしのリノベーション」。
暮らしのマイナスをゼロにするリフォームではなく、マイナスをプラスにまでもっていくリノベーションがリハビリテーションの目指す姿と重なることから決まりました。
本の構成は、7章。
最初と最後の章は、「暮らしのリノベーション」の世界観を表す実践者に登場して頂こうと決まり、平山さんや上杉さんの暮らしを紹介させて頂きました。
その暮らしを知る度に、この本を書こうと思ったイメージ以上の想像を超えた世界が広がっていることに改めて気がつきました。
・バリアフリーの暮らしを押しつけるのではなく、私の暮らしを一緒に考えてほしい。
・専門職が考える「かつての誰か」の暮らしは、私には合わない。
・必要なのはゴール設定ではなく、想像を超えるゴールへと伴走すること。
・・・なるほど。これは本を書きながら気づいたことです。
本の中にも書いてますが、確かに私は作業療法士として、車椅子を使う方がイノシシを解体したり、チェーンソーの使い方を一般の方に教えるなど、そのような多彩な暮らしは想像すらしたことがなかった。
それは専門職が悪いわけではなく、責任を負いすぎて、視野が狭くなっているだけのこと。
私たち専門職は、完全なゴールに導くことなどできない。
バリアフリーが悪いのではなく、「これしかない」価値観の提案がよろしくない。
むしろ、今見えないゴールに向かって一緒に歩いていくことが必要なのだろう。
そしてその想像できないほどの多様性を実現することが、リハビリテーション専門職のやりがいでもあり、自分たちの仕事を面白くする鍵でもあると感じています。
ぜひ、この本が必要とする方に届いてほしいと願っています。